スペクター火口基地

 

「007は二度死ぬ」に登場したスペクターの

秘密基地です。

宇宙ロケット発射基地として、死火山の火口湖下に隠された、巨大秘密基地です。

九州の離島、海女の島に建設されたという

設定です。

火口湖にカモフラージュした開口部を開けると、

ロケット発射や着陸、ヘリの離着陸が出来ます。

 

バード1     

 

火口基地の前に、ロケット(バード1 )から作りました。

寸法は実物設定66フィートから割り出し、1/144サイズを想定しています。

 

007マガジンに全体像の写真が掲載されていたので、

横断面をそのままトレスしました。

厚さ5ミリのバルサ板にトレスした横断面を書き写します。

このバルサを5枚張り合わせて削り出しました。

 

 

 

 

 

このまま表面処理をして塗装する方法もあります。

ただ、発射状態のロケットと宇宙空間で先端を開いた状態、

着陸脚を出した状態等数種類を作成したいので、内部が空洞である必要があります

そこでバルサ円錐原型からバギュームフォームで作ります。

 

 

プラスティック板を布ガムテープで固定し、電気ストーブで熱します。

約30センチ四方の手製のバギュームフォーマーに押し付け、片側ずつ2枚作ります。

 

原形をガイドに左右が均一に原形へ合わさるようにします。

得に接合部分が均一にするのが肝要です。

 最中(お菓子の)の皮みたいといえばお分かりになるでしょうか?

 

 

 

 

左右を接合して円柱にして表面を研磨し

底辺に円形の補強材を組み込みます。

 

飛行士用の観察窓を空け、プラ板とパテで

整形します。

表面をサンドペーパーで研ぎ、サーフェーサーで

表面を整え、再度サンドペーパーで研ぎます。

形が整ったところで、先端を四分割に切断します。完全対象形ではありませんので、

裏に番号をふり今後の組み立てに備えます。

次に切断面も円形プラ板補強材をはめ接着します。

 

着陸脚は直径1ミリのアルミ棒で組み、関節部と底部に直径3ミリの円形プラ板を接合します。

ここに四分割された先端部分のジョイントを差し込む細長い穴(幅0.5ミリ)を、十文字に空けます。

ジョイントは幅2ミリ、長さ2センチの厚さ0.5ミリのプラ板を四分割先端パネルに接着します。

これで手動ながらも、花が開くように先端が四分割で開放されます。

 

 

 

ただこのままだと、開放角度にばらつきが出るため、ストッパーを作ります。

 差し込むジョイントの角度の精度を上げるため、

ジョイントを挟み込むガイドを設けてあります。

 

ストッパーをはめ込みいよいよ完成へむけて

組み立てです。

 

 

 

 

 

 着陸脚をはめ込み、完成です。

 

1段目ロケットと一体になった、発射状態を1機、

写真の着陸状態の2機を作りました。

 

火口基地から発射され、1段目を切り離し宇宙空間でアメリカとソ連のロケットを攻撃します。

 

先端が開き、宇宙飛行士ごとロケットを飲み込み、基地に帰還します。

 

 

しかも自立状態に姿勢制御をして火口基地へ

帰還する精度は、驚異的な技術力です。

 

 

先端は手動で開閉します。

サイドの着陸脚開閉ハッチは、はめ込み式です。

着陸脚は別パーツを差し込む方式です。

 

2003年 2月 制作

 

 

 

いよいよ「火口基地」の設計です。

 

この火山基地は美術監督ケン・アダム渾身の

巨大セットです。

デザインまでの経緯等は、DVDの特典映像の

メイキングでも語られています。

1966年当時に100万ドルをかけた

超巨大セットです。

あまりの巨大さのためスタジオには入りきらないため、パインウッドスタジオの駐車場に建設されました。

 

2019年現在の情報ではネットに建設の様子を撮影した動画がアップされています。

 

火口基地は「007は二度死ぬ」に登場したスペクターの秘密基地です。

宇宙ロケット発射基地として、九州の離島の火口湖下に隠された巨大秘密基地です。

湖にカモフラージュした開口部を開けると、ロケットやヘリコプターの発着陸が出来ます。

補給路は海岸まで伸ばしたトンネルを活用していると想定されます。ボンド達はそこから脱出しています。

補給船は「ニンポー」です。忍法? それとも寧波?  大里化学の保有船でしょう。

基地には二段式ロケットを格納。

発射されたロケットは、米国とソ連(露国)二大大国のロケットを飲み込み、基地へ帰還します。

 

この基地設備、はたしてスペクター単独で用意したのでしようか?

劇中にブロフェルドは依頼元と会談しています。

依頼元の東洋人らしき黒髪ちょび髭メガネの人物が「我々の設備を上手く運用している」と言っています。

依頼元が基地建設とロケット建造を担当し、運用のみスペクターに委託しているようにも取れます。

何か不都合があったら、責任もスペクターに丸投げなのでしょうか。

そんな思惑を見越したのか、ブロフェルドは先に報酬の半額を要求します。

依頼元は米国とソ連が開戦したら報酬を払うと言い、約束違反で脅迫だと非難します。

ブロフェルドは当然のように「我々は脅迫を生業にしている」と応酬します。

原作にあるスペクトル(スペクター)は「対敵情報、テロ、復讐、強要のための特殊機関」の略称です。

脅迫はお手の物でしょうから、依頼先が何を本業にしているか考えると、十分予想できたはずです。

さてこの依頼元はどこの国を想定していたのでしょうか。

中国

 

 

湖にカモフラージュした可動式天蓋。

ヘリ離着陸用のヘリポート。

高さ66フィートのロケットとクレーン付き発射台。

外周にはモノレール。

メイキング映像でも、ケン・アダムはさかんに巨大であることを強調しています。

この巨大セットをジオラマとして再現してみます。

資料としては、「007マガジン/007は二度死ぬ特集号」や映画のパンフレット、

各種007関連書籍、LDからパソコンへ取り込んだ画像をプリントアウトしたもの等です。写真やLDからの静止画をもとにラフスケッチと

図面を起こし、ケント紙で屋根の角度等を

検討しています。

実際のセットはパースがついていて、屋根も

かなり傾斜があります。

参考フィルムや写真等も多分広角レンズを

使用しているから、寸法がわかりずらいです。

007マガジン2000年発行「You Only Live Twice」(パート2)特集が参考になりました。

ただロケットが66フィートだという以外寸法わかりません。

 

 

2015年発行書籍「映画美術から学ぶ世界のつくり方」に、プロダクションデザイナーのケンアダムが

こう説明しています。

「火山の大きさはロングショットに対応するために130mに設定し、36mの横幅に設営された湖には

 人工的に勾配をつけた」

 

 

 

 

さてこの火山基地は美術監督ケン・アダム渾身の巨大セットです。

デザインまでの経緯等はDVDの特典映像のメイキングでも語られています。

1966年当時に100万ドルをかけた超巨大セットです。

あまりの巨大さのためスタジオには入りきらないため、パインウッドスタジオの駐車場に建設されました。

湖にカモフラージュした可動式天蓋。

ヘリ離着陸用のヘリポート。

高さ66フィートのロケットとクレーン付き発射台。

外周にはモノレール。

メイキング映像でも、ケン・アダムはさかんに巨大であることを強調しています。

この巨大セットをジオラマとして再現してみます。

資料としては、「007マガジン/007は二度死ぬ特集号」や映画のパンフレット、

各種007関連書籍、LDからパソコンへ取り込んだ画像をプリントアウトしたもの等です。

 

序文にもあるように、1年程前にケント紙で簡単に作成した半分サイズで

雰囲気はだいたいつかめていましたが、本格的制作には至っていませんでした。

なかなかの大作ですので、覚悟と勢いも必要でした。

そんな時、今年の初め「ジェームズボンド資料館」である書籍が紹介されているのを発見しました。

イギリスのモデラー、トレーバー・ボディントン氏による007模型制作本です。

DIY007とMOVIE MODELS VOL.2 /JAMES BONDの二冊です。

すべてフルスクラッチという驚異的な匠の技が拝見できます。

この書籍についてはまたの機会に。